大山税理士事務所

税務情報

平成28年度 税制改正のポイント

◆法人課税

  1. 税率の引下げ

    法人税の税率(現行23.9%)を次の通り、段階的に引き下げる。

    1. 平成28年4月1日以後に開始する事業年度から23.4%とする。
    2. 平成30年4月1日以後に開始する事業年度から23.2%とする。

    また大企業を対象とする法人事業税所得割の見直しを行い、国・地方を通じた法人実効税率(現行32.11%)は、平成28年度に29.97%、平成30年度に29.74%とする。

  2. 減価償却の見直し

    平成28年4月1日以後に取得する建物付属設備及び構築物の償却方法について、定率法を廃止し、定額法に一本化する

  3. 生産性向上設備投資促進税制の廃止
    現行 平成28年度 平成29年度
    機械装置など 即時償却or5%税額控除 50%特別償却or4%税額控除 廃止
    建物・構築物 即時償却or3%税額控除 25%特別償却or2%税額控除 廃止

◆消費課税

  1. 軽減税率制度の創設

    平成29年4月1日から、消費税の軽減税率制度を導入する。複数税率に対応した仕入税額控除の方式として、適格請求書等保存方式(いわゆる「インボイス方式」)を平成33年4月1日から導入する。それまでの4年間、 事業者の準備等に配慮し、簡素な措置(区分記載請求書等保存方式及び税額計算の特例)を設ける。

    1. 対象品目及び税率

      軽減税率対象品目は、「酒類・外食を除く飲食料品」及び「週2回以上発行される新聞の定期購読料」とし、軽減税率は8%とする(標準税率は10%)。

    2. 簡素な措置
      1. 区分記載請求書等保存方式

        現行の請求書保存方式の記載事項に、軽減税率の対象品目である旨及び税率ごとに区分して合計した対価の額(税込)を追記する。なお、売り手の交付義務はないが、買い手は区分記載請求書の保存が仕入税額控除の要件となる。

      2. 税額計算の特例
        • 売上を税率ごとに区分することが困難な事業者は、下記の表の区分に従い売上の一定割合を軽減税率対象品目の売上として税額計算できる特例を設ける。
          事業者 割合
          仕入を管理できる卸売小売事業者(簡易課税制度適用者を除く) 仕入総額に占める軽減税率対象品目に係る仕入金額の割合
          “イ”以外の事業者 通常の連続する10営業日の売上総額に占める軽減税率対象品目の売上金金額の割合
          “イ・ロ”以外の事業者(主として軽減税率対象品目の販売を行う事業者) 50%
          • (注1)基準期間の課税売上高が5千万以下の中小企業者は、軽減税率制度導入から4年間この特例を選択できる。
          • (注2)上記以外の事業者も軽減税率制度導入から1年間、同様に選択できる。
        • 仕入を税率ごとに区分することが困難な事業者は、次の区分に従い下記の特例を軽減税率制度導入から1年間に限り選択できる。
          1. 売上を管理できる卸売・小売事業者(簡易課税制度適用者を除く)は、売上総額に占める軽減税率対象品目に係る売上金額の割合を軽減税率対象品目の仕入として計算できる。
          2. “i”の計算が困難な場合で基準期間の課税売上高が5千万円以下の中小企業者は、事後選択により簡易課税制度を選択できる。また、中小企業者以外の事業者についても簡易課税制度に準じた方法で計算することを認める。
    3. 適格請求書等保存方式(インボイス方式)
      1. 適格請求書発行事業者登録制度の創設

        平成33年4月1日より登録した課税事業者のみが売り手として適格請求書を発行できる。また、事業者登録は平成31年4月1日から申請できる。

      2. 適格請求書の記載事項

        区分記載請求書の記載事項に、登録番号、税率ごとの合計金額及び適用税率、税率ごとの合計消費税額を追記する。

      3. 免税事業者に対する経過措置

        適格請求書等保存方式が導入されると免税事業者からの仕入は仕入税額控除できなくなるが、導入後3年間は仕入税額の80%を、その後3年間は同50%を、控除可能とする。但し、一定事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が要件となる。

  2. 自動車取得税の廃止

    消費税率10%への引上げ時である平成29年4月に廃止する。

◆個人課税

  1. 空き家に係る譲渡所得の特別控除の創設

    相続時から3年を経過する日の年の12月31日までに被相続人の居住用家屋を相続した相続人が、その家屋(耐震性が無い場合 、耐震リフォームしたものに限り、その敷地を含む。)又は除却後の土地を譲渡した場合は、その譲渡益から3千万円を控除できる

    1. 適用条件
      1. 相続した家屋は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋(マンション等を除く)であって、相続時に被相続人以外に居住者がいないこと。
      2. 譲渡した家屋又は土地は、相続時から譲渡時まで居住・貸付等の用に供されていないこと。
      3. 譲渡価額が1億円を超えないこと。
    2. 適用時期

      平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡されたものに限り適用する。

    3. その他
      1. 取得費加算の特例との選択適用となる。
      2. 相続時から譲渡時まで空き家(更地)であったことなどの要件につき、地方公共団体の長等の確認をした旨を証する書類の添付が必要となる。
  2. スイッチOTC薬控除の創設

    適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、一定のスイッチOTC医薬品を購入し、その支払金額が年間1万2千円を超える時は、その超える部分の金額について、その年分の総所得額から控除できる

    但し、控除金額は8万8千円が限度で医療費控除との併用は出来ない。

  3. 三世代同居に対応した改修工事等に係る特例の創設
    1. ローン控除の特例

      三世代同居対応改修工事を含む増改築工事に係る住宅ローン(償還期間5年以上)の年末残高1千万以下の部分について、一定割合を乗じた額を5年間の各年において所得税額から控除する。

    2. 税額控除の特例(ローンなし)

      三世代同居対応改修工事の標準的費用額の10%相当額(25万円を限度)を、その年分の所得税額から控除する。


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